秘密恋愛短編集
お味噌汁でも作るつもりなのかもしれない。


「そんなの私がやるのに」


「『そんなの』なんて言うなよ。俺はこんなに苦戦してるんだからさ」


泣きそうな顔になるのが可愛くて思わず笑ってしまった。


同時にいつもの様子の聡に少しホッとする。


昨日のことを思い出すと、どう接していいかわからなくなってしまうから。


「じゃあ、私はお茶碗の準備をするね」


私はそう言い、食器棚へと向かったのだった。
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