秘密恋愛短編集
「別に、そんなんじゃ……」


と、否定しようとするけれど、京香にはなにもかも相談してきたため隠しきれない。


好きな人が近くにいることを意識してないなんて、きっと信用されないだろう。


「でもよかったね。理恵は今までがんばって来たんだもん。聡くんとの距離が近づいて私もうれしいよ」


自分のことのように喜んでくれる京香に一瞬昨日のことを言ってみようかと考えた。


でもすぐにその考えを打ち消してしまう。


今はまだ聡の気持ちだってわからないままなんだ。


相談するのは早いかもしれない。


「ありがとう」


私は京香にそう伝えて、話題は流行りの音楽へとうつっていったのだった。
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