秘密恋愛短編集
フンッと小馬鹿にしたように鼻で笑う。


それを聞いた瞬間サッと血の気が引いていった。


じゃあ昨日のあれはなんだったの?


ベッドの中に入ってきて人のこと抱きしめて、キスして……。


あれは全部ウソだったってこと?


思わず両手で口を抑えた。


そうしないと悲鳴を上げてしまいそうだったから。


聡はまだ友人らと会話を続けているけれど、もう耳に入ってこなかった。


今にも涙がこぼれだしてきてしまいそうで、慌ててその場から逃げ出す。


後ろから「おい、あれって理恵じゃないか?」そんな声がしていたけれど、立ち止まることはできなかった……。
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