秘密恋愛短編集
あれほど近づかないでと言ったのに!


咄嗟に両手を耳から離してしまい、その瞬間吐息がかかる。


こんなときなのに、自分の顔が耳まで真っ赤になってしまっていることがわかった。


「ああでも言わないと、あいつらしつこいから」


「私のこと嫌いだからあんなこと言ったんでしょ」


「そうじゃない!」


「キスだって……初めてだったのに!」


昨日のキスが人生で初めてだった。


相手が聡で嬉しくて心臓が止まってしまいそうになった。


それなのに!


「俺も初めてだった」


その言葉に私は目を見開いた。


「うそ」


「嘘じゃない」
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