秘密恋愛短編集
必死で頭をフル回転させて悦司の立場を考える。


自分だったらなにか事情があったにせよ、隠し撮りした本人にも謝ってほしいかもしれない。


そしてもうしないと約束してほしいかも。


「あの、隠し撮りして本当にごめんなさい!」


ペコリと頭を下げる。


「写真、消さないとダメかな?」


私だったら撮られた写真は消してほしいと思うだろうな。


そう思って聞くと、悦司は左右に首を振った。


「いや、その写真がないとお前がまたなにか言われるんだろ?」


そう言われて私は何度も頷いた。


そうなのだ。


隠し撮りできませんでしたと報告して終わるような相手じゃない。


それは悦司もわかってくれているようだ。


「だったら写真については仕方ないよな。その代わり……」


悦司がグッと顔を寄せてきたので思わず背中をのけぞらせる格好になってしまった。


近すぎるイケメンとの距離にどうしていいかわからなくなる。
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