秘密恋愛短編集
別に悪いことをしているわけじゃないから堂々としていればいいのに、悦司を見つめていたということが後ろめたく感じられてしまうのはなぜだろう。


振り向くとそこには雅子たち3人組が立っていた。


相変わらず派手な見た目をしていて、香水の香りが漂ってきている。


「な、なに?」


雅子たちが私に話しかけてくるときにはなにかよくないことが起きるときと決まっている。


私は自然と緊張して声が裏返ってしまう。


雅子はそんな私を見て見下したように鼻で笑った。


「また隠し撮りお願いしたいんだけど?」


耳元で言われて嫌な予感が当たったことがわかった。


悦司は私が隠し撮りをしていたことを知っている。


けれど、それを知らなかったフリをしてくれているから、雅子はまだなにも知らないままなんだ。


これ以上悦司の隠し撮りはできない。


だってすでに本人にバレていて、私はそれを弱みとして握られて放課後空き教室にわけのわからない呼び出しをされているんだから。
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