秘密恋愛短編集
☆☆☆

今日は悦司に助けられたから、ちゃんとお礼を言わなくちゃ。


そう思いながら放課後空き教室へやってきたのだけれど、お礼を言う前にメガネを外させられて視界は悪くなった。


視界の悪い状態で今日のことを伝えるのは気が引けて、まだお礼を言えていない。


「はぁ……」


見えないけれど悦司がため息を吐き出したみたいだ。


なにかあったんだろうか?


「あ、あの……」


「なに?」


「なにか、嫌なことでもあった?」


隠し撮りをしていた私が質問するようなことじゃないかもしれないけれど、ここには私と悦司ふたりしかいない。


気になったから、質問してしまった。
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