秘密恋愛短編集
次に思い出すのは頭を撫でられたときの感触だった。


優しく置かれた手のぬくもりを思い出して全身が熱くなる。


「ち、違う! 勘違いしちゃだめ!」


あんなのきっとどうってことないことだったんだ。


たとえば悦司が日常的にやっている挨拶かもしれない。


あれだけイケメンならちょっと相手の頭をなでたからって怒られることもないだろうから、それはあり得ると思う。


それでも、私の心臓はいつまでもドキドキしっぱなしだったのだった。
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