秘密恋愛短編集
貴美子の言葉に一瞬頭の中が真っ白になってしまった。


今、なんて……?


聞き返すために隣の貴美子を見ると、その頬は真っ赤に染まっていた。


聞き返す必要なんてない。


今の貴美子を見れば誰だって一目瞭然だ。


私は言葉を飲み込んで拳を握り締めた。


さっきまで自分が一番近くにいると感じていた英祐の姿が、今はとても遠いもののように見えたのだった。
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