fantasista 3 ー永遠にー
柊は手を上げてコートを走り……左手薬指に唇を付けた。
そして、そのままこっちを見る。
柊と視線が合ったような錯覚に陥り、顔がぼっと熱を持つ。
胸のドキドキは最高潮で、はやく柊に会いたくなる。
あたしはそうやって紅潮しているのに、
「土下座しねーんだ」
琥太郎君が水を差す。
そんな琥太郎君に
「ど、土下座じゃないって!」
沙知が必死で言っているが、もういいよと思う。
世間一般は土下座だと思ったけど、あたしはそう思っていない。
柊に愛されているんだと思って嬉しかった。
だけど、柊も土下座と言われるのが嫌だったんだな、と思うと笑ってしまった。