fantasista 3 ー永遠にー
4.
美容院から帰ると、柊も家にいた。
柊はあたしに見向きもせず、クローゼットの中を漁っていた。
せっかく片付けた家が、柊のせいでぐちゃぐちゃだ。
「何してんの」
聞くと柊は、クローゼットに頭を突っ込んだまま言う。
「お前の言う通り、服がなくて」
「……は?」
「普段どうでもいい服ばっか着てるから、新婚旅行に着てく服がねぇ」
あたしは鼻で笑いながらも、なんだか嬉しかった。
高校時代の柊は、やたらお洒落なハイブランド服ばかり着ていた。
そしてどうやらそれは、柊の父親の仕事用の服だったらしい。
あの頃はあたしがどれだけ可愛い服を着ても浮いてしまったから、今がちょうどいいと思う。