fantasista 3 ー永遠にー




だけど柊は言った。


「帰国したら、Fのライブに出ねぇと」


その言葉に、


「はぁ!?あんた、超音痴じゃん!!」


思わず声を張り上げていた。




Fというのは、ご存知柊の父親の有名バンドだ。

五十代前半の彼らのバンドは、今や伝説となっているほど。

そんなバンドに、この超絶音痴と言われる柊が出るなんて……あたしも柊の歌なんて聞いたことないが、きっとジャイアンのリサイタルになるだろう。




だけど柊は、顔を歪めて叫んだ。


「歌うはずねぇだろ!お前は馬鹿か!」


「馬鹿に馬鹿って言われたくないよ!」


応戦するあたし。

いつも通りのテンションだ。

そして、このいつも通りの雰囲気に戻れたことが、心から嬉しい。


< 417 / 469 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop