fantasista 3 ー永遠にー
だけど柊は言った。
「帰国したら、Fのライブに出ねぇと」
その言葉に、
「はぁ!?あんた、超音痴じゃん!!」
思わず声を張り上げていた。
Fというのは、ご存知柊の父親の有名バンドだ。
五十代前半の彼らのバンドは、今や伝説となっているほど。
そんなバンドに、この超絶音痴と言われる柊が出るなんて……あたしも柊の歌なんて聞いたことないが、きっとジャイアンのリサイタルになるだろう。
だけど柊は、顔を歪めて叫んだ。
「歌うはずねぇだろ!お前は馬鹿か!」
「馬鹿に馬鹿って言われたくないよ!」
応戦するあたし。
いつも通りのテンションだ。
そして、このいつも通りの雰囲気に戻れたことが、心から嬉しい。