fantasista 3 ー永遠にー
「そうかもしれない。
戸崎が目立っていたから、その陰に隠れて俺は色々やってた。
戸崎に寝取られた女だって、実はどうでも良かった。
とにかく戸崎が憎かったんだ。
俺は、サッカーでも女性関係でも、あいつに勝てない」
あたしは驚いて竹中君を見る。
彼は嘘を言っているようには思えない。
むしろ、少し悲しそうに見える。
「戸崎は好き放題やってたくせに、サッカーで成功してるし……
何事もなかったかのように、山形と幸せそうにしている。
あいつはきっと、人生舐めてる。
挫折を知らない」
そっか。竹中君からはそう見えるんだ。
昔も今も、柊はなんでも自分の思うようにやってしまうと。
「でも、柊も苦しんでるよ」
あたしは言う。
その苦しみを知っているから、あたしは竹中君のようには思わない。