【短】みかん

「……」

「なにしてんの?」

冷蔵庫の扉を開けたまま呆然とするあたしに声をかける彼。

「アイス、あるだろ?」

「……あるけど、さ…。なに、これ。イヤミ?」

見事に並んだある物体の隙間から、微かに見えるアイスのパッケージ。

アイスを取ろうにも、その物体が邪魔をする。


「イヤミ?まさか」

しれっとした表情の彼。

「じゃあ、…なに?」

「一緒に食べようと思って」

「……は?」

眉をひそめたわたしに、彼はにっこり微笑んで同じセリフを口にした。

「一緒に食べようと思って」

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