【短】みかん
「冷たっ…」
わたしの手の中には、冷蔵庫から取り出した凍ったみかんがふたつ。
「わっ…」
冷たさに耐えきれず指先をヒラヒラと動かすと、凍ったみかんは手から転がるようにしてこたつのテーブルの上に落ちた。
「うわっ…。もう少し丁寧に扱えよーっ」
ゴツンと音を立てたみかんを、彼が大事そうに手に取った。
「なによーっ」
ぷうっと膨れたわたしは、
「…ったく。こんなにカチカチじゃ、食べるまでにどれだけ時間がかかるのよ」
ブツブツ言いながらみかんをつついた。
その横で、
「ひーっ、つめてぇ」
と声を上げながら、ちまちまとみかんの皮をむく彼。