【短】みかん
「ばっ…!」
目も口も、鼻の穴まで。
開けられるところは全て開けてしまってる彼。
“男”にしてはカワイイ部類に入る彼の顔が、見るも無惨なものへと変化してしまった。
「ばかかっ!おまえは」
彼のその言葉も無視して、
「ひっ。やめ…っ、その顔やめ…っ…。いひひひひっ」
大爆笑するわたし。
「おまえこそ、その笑い方をなんとかしろっ」
彼は近くにあった旅行のパンフレットをくるくると丸め、ポカンとわたしの頭を叩いた。
「いひっ…。む、むりっ…ひひひっ」
どうにも笑いをこらえることができなくて、体をコロンと横にしたわたしは、しばらくの間、お腹を抱えて笑っていた。