【短】みかん

「ばっ…!」

目も口も、鼻の穴まで。

開けられるところは全て開けてしまってる彼。

“男”にしてはカワイイ部類に入る彼の顔が、見るも無惨なものへと変化してしまった。


「ばかかっ!おまえは」

彼のその言葉も無視して、

「ひっ。やめ…っ、その顔やめ…っ…。いひひひひっ」

大爆笑するわたし。

「おまえこそ、その笑い方をなんとかしろっ」

彼は近くにあった旅行のパンフレットをくるくると丸め、ポカンとわたしの頭を叩いた。

「いひっ…。む、むりっ…ひひひっ」

どうにも笑いをこらえることができなくて、体をコロンと横にしたわたしは、しばらくの間、お腹を抱えて笑っていた。

< 4 / 14 >

この作品をシェア

pagetop