【短】みかん

「今度わたしが来るときまでに、アイス、買っておいてね」


“こたつにはアイス”

一歩も譲らなかったわたしの願い事。

彼にしてみれば“邪道”だけど。


きっと、叶えてくれるだろう。


「………冷蔵庫」

わたしに髪を撫でられながら、ボソッと答えた彼。

「ふふっ。ありがと」


ホカホカと暖かい空間から足を出すと、ひんやりとした空気がまとわりついてきた。

それを振り払うかのように小走りで小さな冷蔵庫へと向かう。


「アイスっ。アイスっ」

声を弾ませ冷蔵庫の扉を開けたわたし。

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