「星をきみにあげる」
「は?」
唐突な言葉に、僕も頓狂な声が出た。
やっぱり、彼女はこの世界の住民じゃないのかもしれない。
だって星が取れないことぐらい、小学生だって知っている。
「僕だって無理。っていうかやだって言ったよね」
「無理じゃない。翔ならできるよ」
「どうやって? やり方を教えてよ。そしたらとってあげる」
「それは――」
ルナは何を考えているか分からない人だった。
砂漠のことを金箔の海と言い、花びらが落ちることを花が踊っていると言い、友達がいない僕のことを愉快な人だと言う。
そんな彼女を人は天才と呼んだ。
これは、そんな世界一意味不明で天才な彼女に贈る、僕の物語だ。