陛下、たとえあなたに「ぼくらの間に愛などない」と宣言されたとしても、事故死する運命を避けることが出来なくても、私はあなたを愛し続けたいのです
 それなのに、彼は愛には恵まれなかった。いいえ、訂正。妻には恵まれなかった。

 でも、心から愛する人がちゃんと見つけたのよね。いまは、それを知っているから安心出来る。

 コリン、もう少しの辛抱よ。わたしが死んだら、その愛する人を正妃にしてしあわせになってね。

 彼の美貌を見ながら、心の中で語りかける。

 おのずと笑みが浮かんでいた。

 そのとき、自分が彼の前に立っていられていることに気がついた。
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