陛下、たとえあなたに「ぼくらの間に愛などない」と宣言されたとしても、事故死する運命を避けることが出来なくても、私はあなたを愛し続けたいのです
 そのとき、小さな笑い声がした。彼を見ると、彼の美しい顔にもやさしい笑みが浮かんでいる。

 その笑顔に胸が痛んだ。

 急に死にたくなくなった。

 いつまででもこの笑顔を見ていたい。側妃になってでもいい。遠くからでもいい。愛されなくっても蔑まされてでもいい。

 彼のこのやさしい笑顔を見たい。彼のしあわせを見届けたい。
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