陛下、たとえあなたに「ぼくらの間に愛などない」と宣言されたとしても、事故死する運命を避けることが出来なくても、私はあなたを愛し続けたいのです
 シャツの下の腕は、意外にも筋肉がついている。

 幼少の頃より、彼が剣の修行をしていることを思い出した。

 そんなこと、すっかり忘れていたわ。というより、彼のことを愛しているというだけで、彼自身のことはどこかへ置いてきている気がする。

 彼は、わたしにとってどこか遠くの人になっていたのかしら。

 その考えに驚きを禁じ得ない。
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