陛下、たとえあなたに「ぼくらの間に愛などない」と宣言されたとしても、事故死する運命を避けることが出来なくても、私はあなたを愛し続けたいのです
 一瞬、彼の顔が近くなった。が、うしろで人の気配がしたので、彼はすぐに姿勢を正した。

 去って行く彼の背を見ながら「三日後にはもういないのよ」、と心の中でつぶやいた。

 そう。予定では、明日階段上で転んで落ちて死ぬはずだから。

 彼と会って楽しいひとときをすごした高揚感、それから明日死ぬという寂寥感でいっぱいになりながら、森へ向かった。
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