陛下、たとえあなたに「ぼくらの間に愛などない」と宣言されたとしても、事故死する運命を避けることが出来なくても、私はあなたを愛し続けたいのです
 とはいえ、実家はもうない。

 実家であるオールディス伯爵家の屋敷は、五年前に焼失してしまった。その際、お父様とお母様は亡くなっった。

 残念ながら、オールディス伯爵家は他に領地や屋敷を所持していない。何代か前に変わり者の当主がいて、伯爵家の財産のほとんどを金貨に換えて手許に置いていた。それがじょじょに減っていき、お父様の代には私たち三人が細々と食べていける程度にしか残っていなかった。それに、伯爵家には男児はいなかった。そして、わたしは王妃になっている。
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