陛下、たとえあなたに「ぼくらの間に愛などない」と宣言されたとしても、事故死する運命を避けることが出来なくても、私はあなたを愛し続けたいのです
「ああ、フユ。きみを嫌いになどなるものか」

 美貌が近づいてきた。形のいい唇が、わたしのそれに重なる。

「愛しているよ、フユ」
「わたしも愛しています、陛下」

 一度はなれた唇が、また重なった。

 今度は、長く。
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