陛下、たとえあなたに「ぼくらの間に愛などない」と宣言されたとしても、事故死する運命を避けることが出来なくても、私はあなたを愛し続けたいのです
 国王陛下、いえ、コリンの台詞は、なぜか一字一句違えることなく知っていた。わかっていた。

 まったく同じ場所、同じ状況でその台詞を叩きつけられた。

 動揺したのは、彼の台詞の内容ではなかった。

 台詞の内容を知っていたから。というよりかは、起こることすべてを知っていたから。

 そうして、動揺のあまりよろめいた。その瞬間、ありえないことがおこった。靴のかかとが、というよりかは靴底じたいがとれてしまった。かかとが高ければ、折れるということはありえる。だけど、かかとはない。それは、ペタンとしている。
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