Cherry Blossoms〜黒に咲く紅〜
「実は初めてなんです。pigeonのメンバーは他にもたくさんいるはずなのに、どうしてかしら……」

「eagleにしかできない仕事ってことか?」

ヨハンがようやく口を開く。その目は鋭くなっていた。その様子に桜士の心にも緊張が走る。一花たちの本来の働く場所は、医療器具が揃った安全な病院ではない。銃弾が飛び交い、常に死と隣り合わせの戦場だ。

もしも危険な場所ならば、と桜士はかばんの取っ手を握り締める。公安警察も命の危機と隣り合わせの部署だ。日々、犯人と格闘するために鍛錬を欠かせない。日本の国民を守るためだ。

(四月一日先生をいざという時は護る……!)

胸を高鳴らせながら決意する桜士に対し、一花が「ヨハン、顔怖いわよ」と苦笑する。

「ここは日本よ。銃弾が飛び交っている場所や、地雷があちこちに埋まっている地域じゃないわ。危険とはまた違う意味で私たちを呼んだんじゃない?」

「それならいいんだけど……」
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