Cherry Blossoms〜黒に咲く紅〜

警戒していたヨハンの顔が、いつも通りのものに戻る。だが、どんな手伝いをすればいいのか、そもそもどこに行くかも桜士たちは知らされていない。油断するのは危険だ。

「四月一日先生、何かあったら必ず僕を頼ってくださいね。護りますから」

ニコリと桜士が笑いかけると、一花の頰が少し赤く染まる。彼女はどこか恥ずかしそうな様子でゆっくりと頷き、ヨハンがキッと桜士を睨み付ける。それに気付かないフリをして桜士が冬の曇った空を眺めていると、耳に複数人の足音が聞こえてくる。

「えっ……嘘でしょ……？」

「マジか、何でお前らが……」

一花とヨハンが驚いている。前方から歩いて来たのは、男女四人だ。そのうちの二人は見覚えがある顔だ。

「サプライズ、大成功！！」

そう言い、eagleの看護師ーーーケニア人のアルオチ・キバキとオーストラリア人のオリバー・ホープは互いの手を叩いて笑う。二人が来るなど聞いていない。

「実は、昨日クラウディオ先生から一緒に行くよう言われてさ、だからよろしく！」