Cherry Blossoms〜黒に咲く紅〜
「こちらへ」
使用人に案内され、桜士たちは手入れされた庭を抜け、屋敷の中へと入っていく。迷路のような長い廊下を通り、奥の座敷へと案内された。
「旦那様たちがお待ちです」
そう使用人が言うと、慎之助と鈴芽の表情が強張る。襖に手をかけた慎之助の手が震えており、桜士は思わず声をかけてしまった。
「奥田先生、どうかされましたか?」
「いえ、何でもありませんよ」
慎之助は首を横に振るものの、その目には恐怖があった。この部屋に何かあるのか、医師の目から公安警察の目に戻った桜士は「僕が開けます」と言い慎之助の手を外し、自身の手を襖にかける。
「失礼します」
そう言い、桜士が襖を開けた刹那、何かが飛んできた。桜士はすぐに頭を横に動かして飛んできたものを避け、後ろにいたヨハンとオリバーも体を横に動かして避ける。ガチャン、と何かが割れる音が響いた。
「これ……」
アルオチが顔を真っ青にする。壁に当たって割れたのは、湯気が立っているお茶が入った湯のみだ。もしも当たっていたならば、火傷と大きなアザができていただろう。
使用人に案内され、桜士たちは手入れされた庭を抜け、屋敷の中へと入っていく。迷路のような長い廊下を通り、奥の座敷へと案内された。
「旦那様たちがお待ちです」
そう使用人が言うと、慎之助と鈴芽の表情が強張る。襖に手をかけた慎之助の手が震えており、桜士は思わず声をかけてしまった。
「奥田先生、どうかされましたか?」
「いえ、何でもありませんよ」
慎之助は首を横に振るものの、その目には恐怖があった。この部屋に何かあるのか、医師の目から公安警察の目に戻った桜士は「僕が開けます」と言い慎之助の手を外し、自身の手を襖にかける。
「失礼します」
そう言い、桜士が襖を開けた刹那、何かが飛んできた。桜士はすぐに頭を横に動かして飛んできたものを避け、後ろにいたヨハンとオリバーも体を横に動かして避ける。ガチャン、と何かが割れる音が響いた。
「これ……」
アルオチが顔を真っ青にする。壁に当たって割れたのは、湯気が立っているお茶が入った湯のみだ。もしも当たっていたならば、火傷と大きなアザができていただろう。