Cherry Blossoms〜黒に咲く紅〜

「一体、誰がこんなことを……」

一花が胸元を掴みながらそう言った刹那、「おい、医者ども！！」と座敷から怒鳴り声が響く。桜士たちが座敷に目を向ければ、広々とした座敷の奥に置かれた椅子に六十代と見られる男性が時代劇の殿様のように座り、何やら怒鳴っていた。その隣には、従者のように妻と見られる女性と、三十代と見られる女性、そして五歳と見られる男の子が立っている。

「失礼します」

無表情のまま桜士は部屋の中に入り、一花たちも後に続く。慎之助と鈴芽の顔は真っ青になり、今にも倒れてしまいそうだった。

（なるほど……。これがeagleのメンバーを呼んだ理由か）

部屋に入ると、また熱いお茶の入った湯のみを投げつけられ、桜士たちはまた避ける。避けたことが面白くなかったのか、男性は顔を真っ赤にしていた。

「貴様ら、避けるとは何様のつもりだ！！ワシはこの土地の地主で、お前らのする健康診断とやらに部屋を貸してやるのだぞ！！何故避けるんだ！！」