Cherry Blossoms〜黒に咲く紅〜

「皆さん、おはようございます。皆さんの健康診断を担当します、内科医の奥田慎之助です」

「看護師の山村鈴芽です」

小さな子どもたちがはしゃぐ中、慎之助と鈴芽が静かな声で挨拶をする。はしゃいでいた子どもたちだったが、ヨハンとアルオチ、そしてオリバーを見ると目を止めた。

「外人さんだ〜！」

「本当だ、外人さん！」

黒羽村に海外出身の人はいない。子どもたちからすれば、海外の人などハリウッド映画などでしか見られない珍しい存在だろう。

「初めまして、アルオチ・キバキよ。アフリカのケニアってところから来たの。看護師をしてるわ。よろしくね」

「俺はヨハン・ファジル。お医者さんだ。アフリカのウガンダから来たんだ。よろしく！」

「オリバー・ホープです！オーストラリアから来た看護師です！よろしく〜！」

三人は子どもたちに目線を合わせ、ニコリと微笑みかける。言葉が通じることに子どもたちは驚き、目を輝かせていた。

「言葉、わかるの？」

「アフリカって遠い？」