Cherry Blossoms〜黒に咲く紅〜

一花の問いかけに対し、鈴芽はゆっくりと頷く。pigeonのメンバーが辞職していた原因は、やはり彼だったのだ。

「あいつ、俺嫌〜い！」

「ヨハンと同じく！」

「あんなのがいたら、誰でも辞めたくなっちゃうよね……」

ヨハンが手を上げながら大声で「あいつ嫌い」宣言をし、オリバーも嫌悪感を顔を浮かべながら手を挙げる。アルオチは苦虫を噛み潰したような顔で鈴芽に同情していた。

「あの人には、本当に困らされてるんですよ。セクハラとパワハラの塊で、自分の気に入らないことがあるとすぐに暴力を振るったり、物を投げ付けたりするんです」

慎之助が体を震わせながら、ゆっくりと白衣の袖をめくる。そこには傷口を縫った痕があった。

「この傷は？まだ新しいものですね」

オリバーの問いに、慎之助は顔を真っ青にしながら俯く。怒り狂った武夫にハサミを投げ付けられ、刺さってしまったのだという。

「完全な老害じゃねぇか！！」