Cherry Blossoms〜黒に咲く紅〜

トリアージをする際には、人の手首にトリアージ・タッグと呼ばれる識別票を使う。状態を見た医師や看護師がトリアージ・タッグに判断結果をトリアージ・タッグに書き、黄色や緑など一部を切り取るのだ。

「大丈夫ですか！？」

桜士たちがトリアージをし始めて数分後、救急車が何台も到着し、救急隊がストレッチャーを押しながらやって来る。桜士は救急隊に怪我の具合を説明し、優先すべき人を順番に指す。

「あちらの男性の方は、頭部に外傷があります。意識は先ほど取り戻しましたが、容体が急変する恐れがありますので、この男性を先に搬送してください」

「わかりました！」

救急車に怪我人が乗せられ、搬送されていく。他の怪我をした人が「私はまだ搬送してもらえないの！？」と騒ぎ始め、桜士は少しでも安心できるよう笑顔を浮かべて話す。

「皆さん、大丈夫です。必ず皆さん搬送されます。安心してください。何かあってもここには医者である僕らがいます。もう少しだけ、待ってくれませんか？」