Cherry Blossoms〜黒に咲く紅〜
オリバーがそう言うと、もう真っ赤な顔をした武夫が「うるさい!敵国の人間は黙っとれ!」と怒鳴り付ける。グビグビと音を立てて酒を飲み干し、お寿司を手で掴むと口の中に放り込んだ。

「な、何でこの人の酌を彼女がしないとダメなのよ?」

唖然とした様子のアルオチが訊ねると、慎之助が「すみません……」と項垂れる。黒羽村の診療を任されてからずっと、二人はこの昼間からの飲み会に付き合わされているのだ。

「こんなのおかしいです!今すぐ帰りましょう!」

一花がそう言い、桜士も頷いた。もう健康診断は終わったのだから、いつまでもここにいる理由はないのだ。一花は鈴芽に近付いていく。だがその時、ドスドスと足音が響いてきた。

「お邪魔しま〜す!」

「俺らも酒飲みに来ました〜」

中年男性数人が部屋の中に入って来た。その後ろには暗い顔をした薫子が、酒の瓶を手に部屋に入って来る。

「おっ、今日は酌をしてくれる人がこんなにもたくさんいるのか!」

「若い子が多くていいな〜」
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