Cherry Blossoms〜黒に咲く紅〜

男性たちのギラリとした目は、武夫に酌をし続ける鈴芽、この場に嫌悪感を示しているアルオチ、そして一花に向けられている。桜士は咄嗟に一花の前に立つ。小柄な一花は、背の高い桜士が前に立てば隠れてしまうのだ。

「僕たちは医師・そして看護師です。お酌をどうしてもしてほしいのならば、そういうお店に行ってください」

桜士が一花を隠しながら言うと、「そうだそうだ！！」とオリバーとヨハンも合意して声を上げる。だが、酒のつまみを運んできた静江が口を開いた。

「医者・看護師など健康診断が終われば関係のないことです。たかがお酌をするだけなのだからいいでしょう？ねえ？」

静江に見つめられた薫子は、少し困った顔で俯きながら「はい……」と小さく頷く。その態度に男性たちは声を上げた。

「ほら、静江さんたちもそう言ってるんだからさ〜！」

「酌してよ〜、酌！」

男性がアルオチを掴もうとし、アルオチは「やめて！」と言いながらその手を避け、オリバーがアルオチを守るように立った。