Cherry Blossoms〜黒に咲く紅〜
酷い暴力行為、セクハラ行為があった際、医師はブラックリストに患者を載せることができる。桜士は一花の言葉を聞いて、医学部で学んだブラックリストについて思い出した。

医者は医師法により、特定の理由がない限り診療を断ってはならないと定められている。だが裏を返せば、特定の理由があれば診療を断ってもいいということになる。それを元に、日本にある全ての病院ではブラックリストが製作されているのだ。

ブラックリストに名前が登録されると、通常の診療はもちろん、救急搬送をされることになっても断られることになる。そして、ブラックリストに載った名前は患者本人が死んでも消えることはない。

「あなたたちをもう奥田先生や私たちが診ることはありません。それをお伝えしに来ました」

一花がそう言うと、男性たちや静江が「どうして私たちまで!?」と口々に不満を言う。男性の一人が一花を掴もうとし、桜士はその手を強く掴んだ。

「四月一日先生に触れないでください!」

桜士がそう言った時、その後ろで一花の頬は赤く染まっていた。
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