Cherry Blossoms〜黒に咲く紅〜

チラリと横を見れば、華やかな赤いニットと白いスカート、レースアップブーツを履いた一花がいる。パチリと二人の視線が絡み合った。

「あっ、今日はよろしくお願いします」

ペコリと頭を下げられ、桜士も「こちらこそ、付き合ってくれてありがとうございます」と頭を下げる。何度もハニートラップは捜査でしたことがあるというのに、一花を前にするとどうすればいいのかわからなくなる。

（本当に恋をしている人相手だと、わからなくなるのは本当なんだな）

そう思いながら桜士はハンドルを握り、車を動かしていく。ドライブデート、という言葉が頭に浮かび頰が赤く染まりそうだった。

「あの、ドライブってどこに行くんですか？」

訊ねた一花に桜士は少し考えた後、「海に行きましょう」と返した。



海に行く途中、ハンバーガーショップに立ち寄りハンバーガーとポテトを買い、また車を走らせて海へと到着する。冬は陽が沈むのが早い。海に桜士たちが着いた時には、もう真っ暗だった。そのため、誰もいない。