最高のパートナー
思えば、私はなんてバカな事をいったのだろう。大丈夫ですか? 大丈夫じゃないからこうしているのに、なんて、バカな事を――他に聞くことがもっとあるのに――

「救急車……で、で、それよりご家族は……!」

本当にパニックになると、頭で考えず全部口に出てしまうのだと、その日私は思い知らされました。

それ故、冷静な対応ができずおろおろするばかりです。

おじいさんは意識があるのか、たまにうーん、とうなります。ですが、それが余計に怖くて、私は焦燥による恐怖の加速を身をもって感じました。

先に謝ります。縁起が悪くてごめんなさい。本当に――

「ごめんなさいごめんなさいっ!」

私の考えは最低でした。

なぜ意識がある事に恐怖を感じたのか。その理由は『もし、今生きているのに私のせいで――亡くなったら私が殺した事になってしまう』私は……私は自分が目の前の現実から逃げたいあまり、こんな事を考えてしまったのです。そして更に、『こんな事なら意識がない方がよかった』反射的にこんなところまで、思考は最高速で悪い事ばかり考えたのです。

こんな自分が嫌で涙がぼろぼろ、とこぼれます。

怖くて怖くて、そして自分の涙よりもおじいさんの体が冷たくて、私は寒さではなく恐怖により手をがたがた震わしました。

加速する末路への接近、失温してユク平温、自身の温度が急速に冷やされる感触――それはまるで、一種の肉体放棄。なんせ、私が感じる事ができるのは、おじいさんからのものしかないのだから、ここに私という人間の個は確かに無意味だったから――

しかし、そんな私でもあるオカシナな事実に〝ようやく″気づく事ができました

それは――

「なんで……誰も助けてくれない……の」



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