最高のパートナー
周囲は決して無人と言うわけではなく、むしろ、人通りがある方なのに、誰一人して、足をとめる人はいません。

「……」

ただ少し、なにやってるんだ? そういった目が一度向けられるだけで、後は通りすぎるばかり。

私は、自分でさえも嫌になりました。けれど、この状況はもっと嫌でした。

こうも、世間は冷たいだなんて。 それは、触れなくてもわかる、冷たさでした。

過ぎる足音、何もなかったかのように通りすぎる自転車。 きっと、この光景はもう何時間も前から続いていたのでしょう……。

「おじいさん。起きてますか!」
「うーん……」

もう、弱音は捨てなくては。私が、するしかない。

とりあえず、おじいさんの頭を膝に乗せようとします。

とても、重かったけどなんとか、乗ります。
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