最高のパートナー
最後に現在地について聞かれます。

私は地理には詳しくない方で、この辺りの地名にさえ詳しくありません。

私は近くに現在地が書かれた看板があるかを座りながら探します。

「す、す、みません。まってください……!」

見つからず、周りの人に懇願するように、視線を送ります。

「す――」

すみせん、そういうよりも先に、人々は通りすぎました。

再び溢れ出す涙。ぐすり、と鼻水をすすります。

世間の冷たさは槍のように、私の心に突き刺さります。

悲しくて、悲しくて、自分でもしらない間に、私は耳から携帯電話を遠ざけてました。


「ちょい貸して!」

力の抜けた手に握られた携帯電話が奪われました。

見上げると、そこには、とても優しそうな男の子がいました。女顔というほどに、顔が細い彼はけれど、しっかりと、男らしく見えました。

「はい。もうすぐ来ると思うからそれまで待って」

携帯電話を返され、彼は自分が着ていたジャンバーを私に被せてくれました。

「……ありがとうございます」

私は涙声でした。

意気地無しの私と違って彼は、何から何まで壮絶でした。

「かわるよ。じいちゃん、ちょと動かすよ」

彼は、自分の胸を背持たれのように使いおじいさんを支えます。

あれだけ重かったのに、彼は苦労なく体を起こしてあげたので、やっぱり男の子は凄いな、と感心しました。

「もう少し寝かした方がいいと思います。その方が姿勢も楽に」

「あっ、こうかな」
< 7 / 7 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop