王子は香水姫を逃さない

再会

 馬車は、夕暮れのバージニアの街に入った。
 
 無事に着いて良かった。
 遅くなれば盗賊が出たりするかもしれなかったから、アーサー達の隊に遅れないように付いてきて正解だった。

 「ようこそ、ロゼリア姫。エリンさん。私はこの店の女主人サラ。よろしくね。」
 「初めまして。ロゼと呼んでください。こちらこそ、お世話になります。どうぞよろしくお願いします。」

 私は、淑女の礼をして膝を曲げて挨拶をした。
 社交界での挨拶の時は、ドレスを持ち上げながら挨拶をするが、今は旅支度の軽装。
 形ばかりの挨拶になった。

 「まあ、本当にお姫様なんだね。その服は質素だけど、身のこなしは優雅だねえ。」
 サラは短い栗色の髪に大きな赤いピアスをしている。身体も大きくて、力仕事も出来そうだ。

 「何はともあれ、部屋に案内するよ。疲れただろう。少しお休み。夕飯は七時くらいになるよ。」
 「ありがとうございます。荷物がかなりあるのですが、商品の類いは、裏の倉庫にいれていいでしょうか?」
 
 「そうだね。生花は、地下の氷室に運んでもらおうかね。御者の彼はまだいるのかい?」
 「はい。よろしければ今日だけ泊まらせて、明日国に帰そうと思います。」
 
 
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