王子は香水姫を逃さない
 ついでに髪も結って後ろにまとめてしまえば誰かわからないよね。うん、完璧だわ。

 馬を引いた男達10人くらいが、前の通りから歩いてきた。ざわざわしている。サラが何事かと店先に出てきた。

 「あら、皇太子じゃない。でも前触れもなかったわね。お忍びかしら。どう見ても、あれは皇太子とピアース隊長。あれ、その後ろにも皇太子みたいな人がいるわね。誰かしら。」

 よく見ると、アーサーとキースだった。ロンの言うとおりだった。
 まずい、こっちに来る。会いたいけど、知られたら絶対怒られる。

 「サラ、私ちょっと店の中で作業するので、店先お願いします。めがね貸して下さい。」

 「あら、いいけど。せっかくだから皇太子と話してみればいいのに。気さくな方なのよ。皇太子さまー、お久しぶりでございます。今日はご視察ですか?」

 「……女将、相変わらず元気だな。商売はどうだ?なんだか見かけないものをたくさん売っているようだが?」

 皇太子は銀髪で鼻筋もすっとしている美男だ。隣にいる近衛のピアース隊長も同じ銀髪だが、身体がひと回り大きい。

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