王子は香水姫を逃さない
 キースは翌日、エセンへ使者をやり、サミュエル伯爵家を探るよう指示をした。
 そして、1週間後の返事を見て、ようやく納得した。

 「アーサー様、ロゼリア様の件、わかりました。」 
 「どうだった?」

 「驚くべきことに、殿下が出立した日にすぐに後を追ってエセンを出立していました。かなり前から計画していたようです。」

 「……やはりそうか。何をする気なんだ?」

 「表向きは商いをバージニアでも広げて、サミュエル伯爵家のために財産を作ることのようです。ですが、何も姫がすることではないですよね。アーサー様を追いかけたいという気持ちからでしょう。」

 「伯爵もよく許したものだ。不安ではなかったのだろうか。私にも何も言っていなかった。あきれた親子だ。」

 「あそこは元々、伯爵家で花を卸していた店でした。古くから付き合いもあり、素性もよく分かっていたようです。新しい商品も研究をしていたこともあり、販売に向けて準備は前からしていたのでしょう。たいした姫様ですね。近衛の訓練が終わったときに城下へ降りて、店をのぞいてきます。エリンもいると思いますので。」
 
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