王子は香水姫を逃さない
キースはうれしそうにニヤニヤ笑っている。
どうせ、エリンにこの間会えなかったから会いたいだけだとアーサーには分かっていたが、エリンからロゼリアについて事情を聞いてもらうのが一番だと思い直した。
その翌日。
皇太子の執務室にはピアースが報告に来ていた。
「あの花屋の店の娘ですが、ロゼリアという名で、エセン国のサミュエル伯爵家の姫でした。」
「……やはり、な。私の目に狂いはなかったようだな。町娘になりすまし、何をしている?」
「伯爵家ではバラの栽培や商品開発をしており、それを姫が担って我が国へ売りにきたようです。」
「それだけか?貴族の娘がすることではない。もしや、エセンのスパイではないのか。」
「そういったことはないようです。元々あちらの国でも、商品開発の研究をするなど姫らしくない振る舞いもあったようです。」
「変なめがねをかけていたが、あれは変装だろう。美しさが隠しきれてはいなかった。研究をするぐらい聡明なのだろう、すみれ色の澄んだ目と黒髪が忘れられない。」
どうせ、エリンにこの間会えなかったから会いたいだけだとアーサーには分かっていたが、エリンからロゼリアについて事情を聞いてもらうのが一番だと思い直した。
その翌日。
皇太子の執務室にはピアースが報告に来ていた。
「あの花屋の店の娘ですが、ロゼリアという名で、エセン国のサミュエル伯爵家の姫でした。」
「……やはり、な。私の目に狂いはなかったようだな。町娘になりすまし、何をしている?」
「伯爵家ではバラの栽培や商品開発をしており、それを姫が担って我が国へ売りにきたようです。」
「それだけか?貴族の娘がすることではない。もしや、エセンのスパイではないのか。」
「そういったことはないようです。元々あちらの国でも、商品開発の研究をするなど姫らしくない振る舞いもあったようです。」
「変なめがねをかけていたが、あれは変装だろう。美しさが隠しきれてはいなかった。研究をするぐらい聡明なのだろう、すみれ色の澄んだ目と黒髪が忘れられない。」