王子は香水姫を逃さない
 常に店先には男達がたむろしていて、ロゼリアはそれらの客に囲まれていた。
 彼女を取り合って男達が大きな声を出している。

 皇太子は割って入ると、ロゼリアを背にかばって3人の男達をにらんだ。
 「店先で大声を出すものではない。彼女がおびえているのがわからないのか。」

 「うるせえな、誰だお前。俺たちは、ロゼの親衛隊なんだ。今、ロゼを夕飯に誘ってるところだ、黙ってろ。」

 「ロゼは行かないといっているではありませんか。」エリンが奥から出てきて、かばうように言った。

 「ロゼに聞いてるんだよ。別にエリンも一緒に誘ってるんだぜ。2人なら来やすいだろ。俺らは3人だ。」

 「申し訳ございません。今日は女将の手伝いで商品を作らねばならないのです。エリンも手伝いがあります。ご容赦ください。」
 
 ロゼリアが膝を折り、男達に頭を下げた。
 
 「じゃあ、明日また来るからな。」3人は名残惜しげに帰って行った。

 「皇太子様、お見苦しい所をお目にかけて申し訳ございません。先日はありがとうございました。」
 ロゼリアは、残った皇太子に向かって淑女の礼をした。

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