王子は香水姫を逃さない
 「さすがだな。話が早い。明日にも向かえをよこす。準備を頼む。商品はいくつか持ってきてくれ。貴女はそのまま来てくれて構わない。城内で湯浴みをし、着替えてから謁見してもらう。ドレスなども城にあるので気にしなくて良い。侍女も一緒に。」

 エリンは皇太子がすぐに自分が侍女であることを見抜き、ロゼリアをスマートに誘う皇太子を驚きながら見ていた。

 ロゼリアは大きく息を吐き、顔を上げた。取り繕ったところでどうにもならない。

 皇太子の言うとおりに登城するしかないと心を決めた。

 「皇太子様。それでは、お言葉に甘えてそちらでお世話になります。侍女のエリンも同行いたします。よろしくお願いします。」

 礼をしながら花のように微笑んだ。皇太子はその笑顔を見て、うれしそうにうなずいた。
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