王子は香水姫を逃さない
ロゼリアは、青くなってしまった。そんなつもりは毛頭なかった。どうして皇太子のものになるの?
舞踏会は断れない。それでも、行くのは危険だわ。
「皇太子様、王妃様。私は、商品の研究などをしているので、ダンスなどは不得手です。皇太子様にご迷惑おかけしてしまいます。」
「心配いらない。私のリードに合わせて踊れば大丈夫だ。今日から一緒に練習しようか。」
「とんでもございません。お忙しい殿下のお時間をいただくなどできません。」
「ロゼリア姫。落ち着いて。ディルクに任せておきなさい。悪いようにはしませんよ。」
「王妃様……」
ロゼリア自身はダンスが非常に得意だった。
運動神経が良く、乗馬もロンが守護動物であることもあり、幼少から嗜んでいた。
しかし、とっさに嘘を言ってしまった。どうしよう。頭の中はパニックだった。
結局、ダンスは自分で練習しますと言って、翌日からきた皇太子のお誘いを断り続けた。
想像以上に皇太子の自分への執着を見せつけられて、ロゼリアは舞踏会をどうやったら無事に終えられるか毎日悩み続けた。
招待状が来た。開けてみてロゼリアは真っ青になった。
そこには、エセン国第二王子アーサー殿下を主賓として歓迎の宴と記載があった。