王子は香水姫を逃さない
「……ピアース隊長。さすが洞察力が鋭くていらっしゃる。ご想像通りです。彼女は元々私の思い人です。」
「やはりそうでしたか。彼女がこの国に来たのは、あなたを追ってきたというのが本当の理由でしょう。」
「ここに、彼女がいるということは、素性をお調べになっているのですね。」
「もちろんです。王妃様にも気に入られてしまっています。ただこのままだと、うまくいっても側室ですね。正室は無理でしょう。とはいえ、あなたもこの国の姫と結婚するのであれば、彼女は良くて側室。同じ条件ですよね。」
「こちらの姫との結婚は考えておりません。婚姻以外のつながりでバージニアとの縁を作るために私は来たのです。」
ピアースは初めてアーサーの方を見た。驚いた顔をして。
「それは、あまり口に出さない方がよいでしょう。第二王女のシルヴィア姫があなたとの結婚を望んでいるのは知っていますよね。」
シルヴィア姫はロゼリアと同じ17歳。栗毛の大きな目をした姫だ。