王子は香水姫を逃さない
 「ロゼリア様。本当にあちらに内緒で行くのですか?」
 
 馬の後ろについてくる侍女のエリン。
 「もちろんよ。エリンだって、キースと離れたくはないでしょ。」
 
 キースは、アーサーの一番の従者。常に従っているから、彼もバージニアについていくのだ。
 エリンは、キースに片思い。とはいえ、最近はキースもまんざらではないと思う。
 
 もう少したったら、二人を取り持ってあげたいと思っていたのよね。
 このままじゃ、本当にかわいそう。だから、エリンも連れて行くの。 
 愛馬のロンが、私に向かって鼻を鳴らした。
 「俺がいれば、あいつの愛馬ノエルと連絡がとれるし、心配ご無用だ。」
 「そうね。頼んだわよ。」

 何で、馬が話せるのかって?
 それは、馬が話せるのではなく、私が馬の話を理解できるから。
 
 私は、自分の精霊が馬なの。だから、ロンが私の守護精霊。馬の実体となり、私の側にいる。
 ロンは、ノエルを通してアーサーの考えを聞いてくれる。
 
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