王子は香水姫を逃さない
頭を上げるとアーサーが顎をつかんで、ぶつけるように唇を重ねてきた。
「……ん、んうっ……」
「あれほど言ったのに。お仕置きだよ。」
アーサーはロゼリアの耳元でつぶやくと、すぐに後頭部をつかんで深いキスをしてきた。
左腕で後頭部を捕まれて、右腕で腰を抱かれ、身動きがとれない。
水音が響いて、ロゼリアは何も考えられなくなって、膝から崩れそうになった。
ソファにロゼリアを抱いたまま座ったアーサーは、黒髪に顔を埋め、ぎゅっと抱きしめた。
「絶対に渡さない。許さないぞ、ロゼリア。」
「アーサー様……私も貴方だけです。」
アーサーは、彼女の首筋や胸元に吸い付いて、キスマークを残した。
普段ならば、目立つところにそのようなことは決してしなかったが、嫉妬と激情にかられ、理性が飛んでしまっていた。
何度も、何度もキスを交わし、アーサーはロゼリアに、決して皇太子の求婚に応じないよう釘を刺した。
小部屋をアーサーが先に出て、その後少ししてから身なりを整えたロゼリアが出た。