王子は香水姫を逃さない
アーサー様、怒ってない?
昨日から、アーサーになんと説明しようと悩み続けていたが、ここに来るまで特段話をせずとも、昔の雰囲気に戻れたような気がして少し安心した。
「ロゼリア……、私に会うためこの国へ来たのか?」
「そうです。申し上げず勝手についてきてすみませんでした。遠くから、殿下を拝見できればそれで良かったのです。」
「驚いたよ。変な眼鏡までかけて。ほんとに声を出してしまいそうだった。」
「……す、すみませんでした。」
それを言うなら私だってビックリしたわ。あんなに早く城下へいらっしゃって顔を合わすとは思ってなかった。
アーサーの横顔は笑っていたが、急にこちらを向いて真面目な顔になった。
「今、昨日会ったシルヴィア王女との縁談がある。国を出る時に話したが、私は我が国の武力を貸すことで、同盟を結びたいと思っている。その武力には私の魔力も含まれる。君は少し魔力について、知っているだろう。」
「はい。」